風に揺れる 鈴の音がすると
ときどき
君を思い出すんだ
お向かいのシュロの木陰
くずれかけ ブロック塀に
もたれかかって 聴いていた
音
きれいな音を
目を開いて
手を伸ばして
見上げてごらん
ほら
シャボン玉みたいな 白い太陽が
みずいろの空いっぱい
はじけ飛んでしまいそう
調子はずれの 小鳥の声がすると
ときどき
君を思い出すんだ
静かな雨の午後
軒下のアリの巣を
数えながら 聴いていた
声
きれいな声
目を開いて
手を伸ばして
見上げてごらん
ねぇ
窓を打つ 雨粒
ひとつひとつが
からっぽの空いっぱい
ふくらんでしまいそう
詩・曲:小泉やよい
収録アルバム『そら』(2006年), 『cure』(2020年)